知る人ぞ知る「アイ・メッセージ」
みなさんは「アイ・メッセージ」をご存知ですか?教育関係や子育て関連の本などによく登場する言葉です。これは“愛メッセージ”でも“Eye メッセージ”でもありません。“I メッセージ”です。「I」というのは英語の「私」です。…と、聞いてもあまりピンとこないですよね。I メッセージに対して You メッセージがあります。
これを簡単に説明すると「おねがい」と「命令」でしょうか。上司と部下・親と子供・先輩と後輩・兄と弟などのいわゆる上下関係は当然ながら、友人同士・恋人・夫婦・同僚でも、人は人に命令や強要をされると、自然に胸につかえを感じます。この現象が世間を騒がせる“ハラスメント”に結びやすくなっていると、私は思っています。
では、具体的にどういうことなのか?少しだけ例を挙げてみましょう。
頼みたいこと You メッセージ I メッセージ
・コピー ・コピーしてこい ・コピーがほしいな
・宿題 ・宿題しなさい ・宿題してほしい
・秘密 ・言いなさい ・聞かせてほしい
分かるような、分からないような印象ではないでしょうか?You メッセージは相手の行動を強制しようとしているように聞こえます。I メッセージは相手が行動するかどうかの判断を相手にゆだね、自分の気持ち(願望)を伝えています。もしかしたら「はぁ?」と思われる方もいるでしょう。例えば宿題は本人のすべきことを、なぜ自分がまるでお願いするように言わなければならないのか!?と怒りさえ感じる方もいるかもしれませんね。
これはあくまでも人の成長や自分の指導力を高めるための手段ではありません。あくまでも合理的に事柄を済ませるためのコミュニケーションの手段なのです。上司が部下に?親が子に?と思う気持ちは私も当然分かります。ただし、あなたがその立場に何かを奪われてしまっている間はストレスフリーなゆとりのある日々はなかなかやって来ないのです。
立場を置いて目的の遂行に重きをおき、人の行動をスムーズにアシストすること。そうすることであなたが大切にしている立場により磨きがかかり、より良い集団作り・笑顔の溢れる日々につながるのです。不思議ですね。不思議です。でも、事実なのです。
執筆 株式会社 FOKUA 産業カウンセラー 武 浩美