不安と不満

 不安と不満。この二つは違います。違うのですが似ています。似た別のもののようで、一本の線の上にある場合もあります。

 年度末を迎え何かと忙しくなる頃です。一区切りを前にすると、思いがけない事実が浮き上がってきたり次年度に対する心配事が見えてきたりします。この時の気持ちは「不安」「焦り」「後悔」「驚き」など色々な言葉で表現できることと思います。この気持ちを上手にコントロールして、エネルギーに変えることができれば問題はありませんね。場合によっては予想を超えた素晴らしい年度末を迎えることができるようになるかもしれません。ですが、残念ながらこのような展開を迎えることはとても稀なのではないでしょうか。

 たいていの場合、この不安や焦り等は、“怒り”に発展します。この怒りは時に人へ向かってしまいます。この時にいわゆる“ハラスメント”が起こることが多いものです。特に、“パワーハラスメント”に関しては立場が上の人の不安や焦りの気持ちが、犯人探しや原因探しのエネルギーになってしまうことから発展する場合が多いものです。同僚や友人同士、家族や自治体でも同じようなことは起こりがちです。

 この感情の矢印の向きの間違いは、最終的に不満になって人をさまざまな形で苦しめます。不満を持つということはその組織や関係性に対し意識があり、そこに対する期待や希望を持っているものです。この不満を上手に管理できる集団が向上を果たすことは、多くの研究でも証明されています。また、この事実に基づき「産業カウンセラー」というポジションが成立しています。

 不安も不満も大切な資源であると私は思っています。資源はそのままの状態で有効活用することはできないものです。分解や洗浄・加工をすることで人に有用なものになります。この手間を惜しむことの損失は意外に大きいものです。

 とはいうものの、やはり人の不安や不満を活用することは簡単ではありません。例えば会社の中での話であれば、ご自身の業務や生活を抱え同じ期限の中でコントロールするのは大変です。そんな機会にこそカウンセラーをご活用いただければと思います。欲を言うならば、年度末に限らず日頃から小さな不安と不満をその都度整理させていただけることを希望しています。

株式会社 FOKUA 産業カウンセラー 武浩美

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