原体験を知ると言うこと
やっと行動制限も和らいだ年末年始となりました。久しぶりに「あぁ、お正月だなぁ」と実感された方も多いのではないでしょうか?
皆様お変わりありませんか?行動制限の解除に伴い、緊張感から解放され心の疲れを実感する方がいるかもしれません。今こそご自身の体調についてじっくり向き合っていただきたいと思っています。
さて、皆さんは「原体験」という言葉をご存知でしょうか?“個人の人格形成や行動の選択について、無意識もしくは知らず知らずのうちに影響を及ぼし続ける”幼少期の体験”のことを言います。
カウンセリングを行う上でも、この原体験を探ることが相談者の困難解決の糸口になったり、カウンセリングを進めていくうちに相談者自ら原体験にたどりついたりすることは少なくありません。この原体験にたどり着くことによって、相談者自身の行動の癖や思い込み・本来の気持ちや能力に気づくことができるようになることも。
今では原体験に触れた書籍などもあり、ご自身の原体験を探ろうとされている方もいるようです。この「原体験を知る」ことについて、非常に有意義なことは証明されているものの、「原体験を知る意味」についての理解が不足している場合は新たな苦悩を生んでしまうことを知っていただきたいな…と私は思います。
例えばよくある例ですが『自分は人前で話すことができません』と悩んでおられる方がいます。この方にカウンセリングを進めていくにつれて“実は人前で話すことに憧れていた・話ことは得意であった”というお話が出てくることは少なくありません。では、なぜその方が『できません』と言い切るようになってしまったのかを探っていくと“小さい時に人前で話をして大失敗をした・とても残念なことがあった”という記憶にたどり着きます。この体験が原体験にあたるわけです。
この時“その出来事がその時だけの出来事であって、今も同じことが起こるわけではない”という考えにたどり着き、原体験を知ることが今の自分・これからの自分の考え方の方向転換のきっかけになることができればカウンセリングも良い方向に向かいます。
こう書くととても簡単なことのように思え、自分で自分の原体験を探ってみよう!となる方もいるかもしれません。これは私個人の意見ですが、原体験を探ることについては、専門家と一緒にされることをおすすめします。この理由は、一人では前向きに原体験を受け入れることがとても難しいことにあります。悩みや困りごとを解決するために自分と向き合った挙句、人を恨むことになってしまい結局自分を更に苦しめてしまう…。そんなことにもなりかねません。
あなたの中にはあなたが知っているようで知らない自分がいるものです。その閉じ込められた自分を助け出す方法の一つが「原体験を知る」ことでもあるのです。もしあなたが本当にどこかに閉じ込められてしまったとしましょう。その時に自分一人でそこから脱出するのはとても困難です。しかし、助けを呼び専門の人に助け出してもらえれば、あなたへのダメージは少なくて済むはずです。
そして、これもカウンセラーの仕事なのです。ご興味のある方はお気軽にお問合せくださいね。
株式会社 FOKUA 産業カウンセラー 武浩美